暴力団対策法ってこんな法律
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる「暴力団対策法」は、これまで対処が困難であった民事介入暴力への対策を効果的に推進するとともに、対立抗争による市民への危害防止のための必要な措置を講ずるために制定されました。
また、国及び各都道府県に暴力追放運動推進センターを指定する制度を設け、暴力団員による被害の予防と被害者の救済に資するための活動を行わせることとしました。
暴力的要求行為の禁止(禁止行為)
暴力団対策法においては、指定暴力団員がその所属する指定暴力団等の威力を示して行う27類型の不当な行為が禁止されています。
公安委員会では、暴力団対策法に違反した指定暴力団等に対しては、中止命令や再発防止命令を発出し、その行為を中止させています。この命令に違反すると刑罰の対象になります。さらに特定危険指定暴力団に指定されると、指定した区域(警戒区域)内で禁止行為に該当する不当要求を行うと、中止命令等を経ずに刑罰が課せられます。
指定暴力団について
指定暴力団とは
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)は、都道府県公安委員会が指定した暴力団(指定暴力団)の構成員が、一定の行為を行うことを禁止しています。
適用事例等
公共部門における暴力団排除
生活保護からの暴力団排除(令和5年9月、千葉)
市からの照会に基づき、生活保護の申請者について調査したところ、同申請者が稲川会傘下組織組員であることが判明した。令和5年9月、警察からの回答を受けた市が、同申請者の申請を却下した。
各種業法による暴力団排除事例
解体工事業登録からの暴力団排除(令和5年4月、北海道)
道からの照会に基づき、解体工事業の登録申請業者について調査したところ、同登録申請業者の代表者が元六代目山口組傘下組織組長であることが判明した。令和5年4月、警察からの回答を受けた道が、同登録申請業者の登録を拒否した。
適格都道府県センター制度を利用した暴力団事務所の撤去事例
絆會の主たる事務所に対する使用差止仮処分命令の決定(令和5年12 月、大阪)
令和5年11 月、適格都道府県センターとして認定を受けた公益財団法人大阪府暴力追放推進センターが、絆會の主たる事務所の付近住民等から委託を受け、大阪地方裁判所に対し、同センターの名をもって同事務所の使用差止の仮処分命令の申立てを行ったところ、令和5年12 月、同命令が決定された。
暴力団排除のための条例適用
禁止区域における暴力団事務所の運営(令和5年3月、警視庁)
住吉会傘下組織組長らは、条例により定められた暴力団事務所の運営の禁止区域において、令和3年3月頃から令和5年1月頃までの間、暴力団事務所を運営した。同年3月、同組長らを同条例違反(暴力団事務所の運営の禁止)で逮捕した。
利益供与事業者等に対する勧告(令和5年7月、大阪)
飲食店の経営者は、令和4年9月から令和5年3月までの間、暴力団の威力を利用する目的で、六代目山口組傘下組織会長にマンション1室及び駐車場を無償で貸し与えるなどして合計約100 万円の財産上の利益を供与した。同年7月、同経営者及び同会長に対し、勧告を実施した。
暴力団員の社会復帰対策の事例(就労支援)
暴力団からの離脱者に対する就労支援(令和5年7月)
暴力団から離脱し社会復帰を望む相談を受けていた暴力団組員から、別の組織に所属する暴力団組員も離脱を希望している旨の情報を得て、同人らに対する離脱支援及び就労支援を実施したところ、いずれも、所属する組織から離脱し、令和5年7月、警察、暴追センター、関係機関・団体等から構成される社会復帰対策協議会を通じて協賛企業に就労した。
企業活動を利用した資金獲得活動の事例
稲川会傘下組織組長らによる労働者派遣法違反事件(令和5年10 月、千葉)
稲川会傘下組織組長らは、令和4年11 月、労働者を現場作業員として派遣し、足場組立等の建設業務に従事させ、労働者派遣が禁止されている建設業務について労働者派遣事業を行った。令和5年10 月、同組長ら2人を労働者派遣法違反(禁止業務への派遣)で逮捕した。
暴力団幹部による貸金業法違反事件(令和5年11 月、熊本)
暴力団幹部の男は、平成30 年7月頃から令和5年5月頃にかけて、男性らに現金合計100 万円を貸し付け、登録を受けないで貸金業を営んだ。令和5年11 月、同幹部を貸金業法違反(無登録営業等の禁止)で逮捕した。